マスコミはなぜか清算主義が大好き

http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/20091108/1257661998
森剛志・橘木俊詔著「新・日本のお金持ち研究」で気になることが書いてあって、2004年の調査だが、5年前と比べて自分の資産が増えたと答えた富裕層が6割以上いるし、一般国民の低所得化についても自己責任とする考え方が圧倒的多数とのこと。
(中略)
そしてマスコミは大本営発表を鵜呑みにするのでそうしたバイアスのかかった情報ばかり流通してきたというわけか。

シノドスセミナーで田中秀臣先生が仰ってたんだけど、新聞や雑誌って清算主義*1が大好きなんだそうだ。昭和恐慌の頃にも、水ぶくれした経済を叩き直し社会を変革するためにはまだまだ不況が足りない、なんて記事を書いていたらしい。
これって当時の井上準之助蔵相が、金を旧平価で解禁することの目的として、円高に耐える強い経済に鍛えるのだと言っていたのと凄く近いんだなあ。*2
結局のところ、政治サイドがこのような言い方をするから太鼓持ちのマスコミがこういう主張をするというより、清算主義って日本のインテリ層に受けるんだと思う。田中先生は石橋湛山の言葉を引いて、小手先の対応より根本から変えなければ意味が無いという根本主義が日本人の思考傾向らしいという話をされた。*3
一ついえるのは、清算主義って凄く頭の良いことを言っているような感じがあるんだな。食事の際にも出たけど、思想系の人(学者だけではなく文化人とか映画人とかその手の)って、新しい時代が来た、人間が変わるべき時だ、なんて言い方が凄く好きらしいという話があって、これは清算主義にも親和性がある*4
マスコミって経済モデルをいじって難しいことを考えている本物の経済学者より、電波芸人系エコノミストとか文化人と付き合いが深い(というかマスコミも文化人の一種なわけで)ので、自然とそういう思考になりやすいんだろうね。

*1:社会を改革するためにはトコトンまでダメになるべきなんだ、というイデオロギー

*2:同様のことは小泉元首相&竹中平蔵氏も言っていた。経済を甘えさせるようなことをすると構造改革の足を引っ張ると

*3:医療では、当座の延命や症状緩和の為の治療を「姑息治療」と言い、単に苦痛を緩和するだけではなく、根治治療に耐えられるだけの体力の回復を狙う目的もある

*4:破壊の後に新生があるとかね