ロストジェネレーションが失ったもの

2/19修正
ロストジェネレーションというと、日本では1990年代末頃から2000年代前半にかけての就職難、就職氷河期に晒された世代を指すわけですけど、欧米でロストジェネレーションというと、第一次世界大戦に遭遇しそれまで欧米社会を支えていた倫理や宗教、伝統的階級社会の崩壊を目の当たりにしたことで、それまでとは異なった価値観を持つことになった世代を指すんだそうです。
ですが、誰が言い始めたのか分かりませんけど、良い得て妙とも言えますが、欧米のロストジェネレーションと同様に日本のロストジェネレーションも、いわば就職氷河期によって爆撃された世代と言えるんではないかな、と思うのですよ。
どういうことかと言いますと、どれだけ男女共同参画社会を訴えたところで、絶対に女性にしかできない仕事、つまり子供を産み育てる*1ことは絶対に女性にしかできない、この大仕事を男性に半分分けることなんて絶対に無理という事実があり、代わりに男性が女性を養う、男性が女性の食い扶持を稼いでくるという役割分担が、それこそ太古から続いてきたわけです。
そういう視点で考えると、男性にとって仕事が無い、仕事を評価してもらえない、収入が十分で無いというのは非常に苦しい。
これは「ドキュメント高校中退」に書かれていたのですが、親から見捨てられた若者たちが何を求めるかという話で、例えば女性であれば自分の子供を欲しがるという話があって、これはつまり女性とっては自分を頼ってくれる存在である子供が欲しいということなんですね。
では、翻って見たとき男性にとってはそれは仕事になるということ、実際仕事が恋人とか子供みたいなものなんて言う人もいるでしょうが、男性にとって仕事で評価されないというのは精神的に大変なストレスとなるわけですが、そして日本の就職氷河期世代、ロストジェネレーション世代というのは余り仕事で良い思いが出来ていない。
就職が思うに任せないということもあるでしょうし、働いても働いても収入が増えないということもあるでしょうし、いつまで経っても出世できない*2とか後輩が入らずにずっと下働きとか、とにかくろくなことになってない人が結構いるんではと思うのです。
で、結局ロストジェネレーションが失ったものというのは何かというと、それは「自分自身」「自己の実存」「自信」なのではないかと思うのです。
いわば、ロストジェネレーション世代は心の中に「虚無」を抱えている。あるいは、常に死地にい続けているとも言えるかもしれません。*3
この下に、なんとなくイメージがロストジェネレーションなアーチャー(Fate/stay night)の詩(というか呪文)を入れたのですが、中二病くさいので消しました。
ロストジェネレーション世代が少なからず経験している社会は苦しい自分に何もしてくれないという経験は、社会に対する冷笑的な態度や不信感、あるいはその裏返しとしての自己責任論への傾倒となっているのではないでしょうか。

*1:母乳を与えることは女性の特権です。

*2:上がバブル期の大量採用で塞がっていたりして。

*3:あくまでも比喩です。