正しい筋肉経済学

http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/20090124

経済は人体とは違う。不況下で鍛えられるというような状況証拠は何もないし、むしろ強引に人間に例えるのなら逆に「栄養不足の過酷な環境で長いこと過ごしたために体がガタガタになってしまった半病人」みたいなもんじゃないだろうか?

筋肉経済学きんにくけいざいがく(サイエンス)
不景気などにより企業や家計を痛めつけることで経済や企業などの「体力」や「国際競争力」などが強化されるという考え。シバキ主義

実践してもろくなことはない。

趣味でウェイトトレーニングを嗜んでいる者の視点から見て、単に体をイジメれば鍛えられるというのであれば、それは誤った認識だと言う他無い。
レーニングの基本は、1)適切な負荷をかけること、2)適切に栄養をとること、3)十分な休息をとること、の3つが欠かせない。
弱すぎる負荷では筋組織の破壊が起こらず、強すぎる負荷では関節や筋肉を痛めてしまう。栄養が十分でなければ筋肉は回復しない。休息を取らないでトレーニングを繰り返せばオーバートレーニング状態になり重大な故障の原因になる。
そして何より重要なのは、体調がすぐれない時にはトレーニングを止めて休息に専念するということ。
よくマッチョを「脳筋(脳みそ筋肉)」等と揶揄したりするが、トレーニング、そしてボディビルディングとは医学的科学的なものであって、自分の体の限界に挑もうとするのだから気合や根性に頼っては大怪我をする(無論、意識を集中する、肉体の理想系を思い描くというのは重要なのだが、それは根性論とは非なるものだ)。
プロのスポーツ選手が常人から見れば非常識なほどのトレーニング量をこなすことができるのは、彼らはそれをこなせるだけの基礎体力を持っているからであって、体を壊すほど無理をしているわけではない(スポーツで稼がなくてはならないのに体を壊してしまってはプロ失格である。とはいえ練習で故障をしてしまうのは、必要なトレーニング量や強度と身体限界の間のマージンが少ないためでもある)。

おそらく、経済も体と同様鍛えれば強くなると夢想する人々は、むしろ巨人の星あしたのジョーや、あるいは戦中の精神主義の幻影を見ているのだと思う。
確かに当時は大和魂のような精神主義が色濃く残っていて、トレーニング中に水を飲むなとかピッチャーは投球フォーム以外の動きをするなとか、あるいは走れば走るほど鍛えられるんだとか、今から見れば明らかな間違いや迷信がはびこっていた。
しかしながら、星飛雄馬は肘を壊し、力石や丈は減量苦とパンチドランクに倒れ燃え尽きた。
筋肉経済学(というより、やはりシバキ主義、シゴキ主義というべきだろう)を主張する人々は、日本を「真っ白な灰」にしたいのだろうか。