経済成長について一歩進めて考えてみた

最近きちんと考えたエントリを書いていませんけど、ようやく「年率2%の経済成長=主観的な生活水準は横ばい」仮説が頭の中で発酵してきました。
で、以下は経済学を勉強した人にとっては的を外している部分もあると思うので、間違っている点がありましたらズバズバ指摘して欲しいな、と。

財のバスケットという視点

まず、我々の幸福は「財(モノだけではなくサービスも含まれますよ)」でそれなりに計量可能だなと思いつきました。鳩山政権は幸福度を計る指標を考えるなんて言ってますが、幸福とは財だと明言すると「いや家族だろ」とか「愛だろ」なんていう人が出てくるんですけど、そういう人は身包み剥いで家族もろともシベリアに送るんでヨロシク。

    |┃三     , -.―――--.、
    |┃三    ,イ,,i、リ,,リ,,ノノ,,;;;;;;;;ヽ
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    |┃三  `{| _;;iill|||;|||llii;;,>、 .!-'   /
    |┃     |    ='"     |    <   話は全部聞かせて貰ったぞ!
    |┃      i゙ 、_  ゙,,,  ,, ' {     \  貴様ら全員シベリア送りだ!
    |┃    丿\  ̄ ̄  _,,-"ヽ     \
    |┃ ≡'"~ヽ  \、_;;,..-" _ ,i`ー-     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    |┃     ヽ、oヽ/ \  /o/  |    ガラッ 

…そういえばシベリアってお菓子があったよね、食べたいねえ。*1
で、何で財をバスケットで考えるかというと、消費者物価指数(CPI)にヒントを得た、というのは本当ですけど、

  1. バスケットの中には食べ物(財)が色々入っている。
  2. バスケットの大きさが我々の所有する食べ物(財)の総量(=総資産)である。
  3. バスケットの中身は時間と共に痛む(=財が損耗・減価する)。
  4. 新しい食べ物を追加するにはバスケットのサイズを大きくするか、何かを代わりに諦めるか、あるいは食べ物のサイズを小さくする必要がある。

ということで、おお、バスケットって言い得てるじゃないかと思ったのです。
で更に言うと、バスケットの中身、つまり食べ物(財)の個々の大きさが財の評価額、あるいは財を得るのに必要な対価(名目顎)になるんです。

バスケットの中に絶対に入れなくてはいけないもの

さて、食べ物(財)のバスケットの中には絶対に入っているものがあります。
例えばそれは食器です。ん、無くても何とかなる?そういう人はキョウチクトウの枝で作った箸で食中毒でも起こすがよい。
食べ物を取るには皿と箸が必要ですし、缶詰を開けるには缶切りが、飲み物を入れるにはグラスが、果物を切るにはナイフが必要です。場合によっては調理器具やマッチが必要かもしれない。
これって何の比喩かというと、バスケットの中に何かを入れると最低限いくらかの容積、つまりおカネを取られてしまうということなんです。
最近、ITでWeb2.0ロングテールでFreeなんて話がありますけど*2、いやFreeなんて無いってことなんです。一見Freeでも、パソコンや携帯、通信インフラが必要な時点でFreeではない。対価を払って買わねばならない商品には必ず広告費が乗っているし、「無料です」なんてうたう携帯ゲームも他の事をやろうとすると途端に「オプションは有料です」なんて言ってくる。負担してるんだけど見えにくく隠蔽されてるだけなんです。
これっていわば、仮に容積を持たない架空の食べ物があったとしても、それを乗せるための食器は用意しておかなくてはいけないってことですね。

財バスケットで厚生を考えると

財バスケットには大きさの他に重さという評価軸もあります。
つまり、バスケット自体は大きいけれど重さが軽い、つまり中の食べ物の質が悪くてスカスカという場合もあれば、バスケットの大きさは小さいけれど中身の質が良くてずしりと重いという場合もあります。
以上から、我々の厚生度はバスケットの大きさと重さの積によって近似できると考えられます。

バスケットは常に一杯です

我々は皆バスケットを持っていますが、バスケットは常に一杯になっていてすき間はありません。
すき間があったらどうするかというと、我々はそのすき間を誰かに貸し出すのです。もちろんただ貸し出すのではなく貸し代(=利子)を取るわけですね。ただ、個人が借り手を探すのは大変なので、そういうのを差配する役割の人が引き受けます。つまりこれが銀行などの金融機関ということです。
我々のバスケットは常に一杯ですが、仮に自分の食べたいものだけで一杯にしてしまうといざ他の人のスペースを借りねばならない時に対価として渡すものが無くなります。
私のバスケットにはまだ若干の余裕がございます、というすき間権が「貨幣」と言えます。
つまり、我々は融資を受けるとき、借りたすき間に若干すき間権を上乗せして返すわけです。

以上の視点から経済成長について考えると

世の中には無数に食べ物が存在しますが、我々はそれらから有限の個数を選択してバスケットに入れなければなりません。
財のバスケットという概念で経済成長について考えると、次のように整理できる事が分かります。

  1. 食べ物のサイズは変わらないが、重くなった。(=改良、質的向上)
  2. 重さは変わらないが、大きさが小さくなった。(=低価格化)
  3. 新しい食べ物が開発され選択肢が増えた。(=新規財創出、イノベーション

このうち、1と2はサイズないし重さを単位として考えれば同じことを指しているわけですが視点を変えると全く違うことが分かります。
我々の社会は常に新しい品物が開発されます。さて問題、我々のバスケットは常に一杯なのですが、そこに新しい品物を収めなければならないとすると、一体どうしたらよいのかということです。
解決策は次の二つ、一つはバスケットのサイズを大きくする、もう一つは品物のサイズを小さくする、です。
長くなりますのでとりあえずここまで。

*1:山崎パンのデラックスシベリアを食べた。子供の頃食べたのはもっと美味しかったような気もしたけど、渋茶やストレートティーのお茶請けに適当な感じのお菓子でした。

*2:この辺かなり投げやり。