虎穴に入らずんば虎児を得ず

http://d.hatena.ne.jp/nyanko-wonderful/20100219/p1
リフレ政策に反対する人たちが社会の制御可能性に疑念を抱き、人為的に急激なショックを与えることに拒否感を持つのも一つの意味ある主張として成立すると思います。金融市場関係者にリフレ政策に否定的な意見が多いのも、彼らが日々の業務において、経済の予測不能性を肌身で感じているからではないでしょうか。

正直、これは半分正解でもう半分には触れていないように思います。
確かに彼らは「経済の予測不能性」を元に政策による市場への干渉を嫌っているように思います。ですがそれ以上に、彼らはリスクを背負っても市場に干渉しなければならない場合があるということ、そういう視点を持っていないが故、ではないでしょうか。
田中秀臣先生が書いておりましたけど、景気が悪化して真っ先に苦しい目に遭うのは学生、それも先生の著書でも触れられている*1平均以下の学生が就職難で大変な目に遭ってしまいます。
金融関係者の視点は確かに一面において正しいのだけど、かといって彼らがそういう学生に対して処方を出すことはできない。つまり正しいが役に立たないのですね。
そしておそらくある程度恵まれた立場にいる彼らは、不況が長期化することで起こる重大な問題、つまり地方経済や生産現場といったミクロ単位での劣化について余りにも鈍感であるということ。
私自身は、ここ数年、長く見ても5年が正念場だと思っていますけれど、団塊世代の経験を何とかして次世代に繋げないと、「ものづくり日本」どころか「何一つ作れない日本」に陥る可能性が高く、

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100216/212780/?P=5
飯田 いや、笑い事じゃありません。ただ単に1億人も人間がいるから、何となくプレゼンスがあるだけで、事実上は既に「張り出し先進国」化しつつあります。十年もしたら、「張り出し」のポジションですら微妙でしょう。

飯田泰之先生は仰っていますけど、ひょっとしたら10年も掛からないんじゃないかとすら思ってしまうのです。
現在の日本は一人当たりのGDPで世界15位から20位くらいと言われます。*2これは為替レートの変動で容易に3位程度は変動するためですし、リーマンショック以降の世界大不況の影響を反映する前の数値ですので。
今後、高齢化と少子化の進行によって生産人口の減少が著しくなり、更にGDPが伸びるどころか低下傾向になるとすると、国際的に見て投資市場や商品市場としての日本の魅力はますます失われるでしょう。
金融市場関係者はおそらくそういう視点で経済を見てはいないはずです。マネーは数秒で世界を移動させることができますが、人を育てるには年単位で時間が掛かります。
そして我々は既に10年15年と時間を無駄にしていて、既に最終電車の発車ベルが鳴っているのだということを。