もう一声、欲しいところです

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成長戦略、3%成長めざす 名目年平均、20年GDP650兆円
 政府は28日、成長戦略策定会議(議長・鳩山由紀夫首相)が30日に決定する新たな経済成長戦略で、2020年の名目国内総生産(GDP)の目標数値について、650兆円程度とする方針を固めた。名目成長率で平均3%、実質成長率で2%の成長をそれぞれ想定している。

目覚しい数字というより普通の先進国であれば十分達成可能な数字ですからもう一声欲しいところでした。せめて名目成長で3.5%くらいは・・・。
ちなみに、たった0.5%でしょ、という人は複利計算の恐ろしさを知らないのです。
経済学の基礎的知識のひとつに「70ルール(72ルールとも)」というものがありまして、これは数値が2倍になるまで何年かかるかをざっと荒っぽく計算するのに使われるものです(もちろん誤差はあります)。
考え方はごく単純、70年(もしくは72年)÷増加率(パーセントポイント)=2倍になるまでの年数というもの。
これを使って考えますと、仮に年率3%の増加率だと、2倍になるまでに大体23年かかります。これが3.5%だと20年、4%だと18年です。え?たいした違いはない?いえ、GDPというのは単年度計算ということを忘れてはいけません。毎年数十兆円という数字が積み重なっていくのですから(しかも差は複利で増加するのです!)、数年累積すれば富の蓄積という点では驚くほどの違いが出るのです。
さて、2009年末の日本が15年ほど前から名目GDPが殆ど伸びず大体500兆円のままでいたわけですが、このことがなぜ現在の停滞となっているか、勘の良い人はピンとくるのではないでしょうか。
仮に1995年から2009年までの失われた15年間、平均年率3%で成長していたと仮定し、15年間ずっと500兆円だった場合と比較すると、我々が得られるはずだった富は1800兆円にもなり、いわば丸3年間、何もせず遊んでいられるだけの富を失っていたのです!
我々はもっと豊かであるはずだった。もっと幸せであるはずだった。若者が就職先が無いことに苦しむことも、日々失業の足音に苛まれながら出勤することも無かったはずだった。
途上国に比べれば幸せだ、日本は治安もよく物も豊かだと言われながら、その実感を得られなかったのは当然、15年間で当然得られるはずの1800兆円を失っていたのだから。