クルーグマン先生いわく「馬鹿な考えの破壊力をけっしてあまくみてはならん」

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2009110300241
えー、一部では鋲打ち革ジャンと鎖付き鉄球が大売れ、製造メーカーはストップ高の模様です(世紀末覇者的に)

left over junk
大恐慌からえられた教訓を1つ挙げると,「馬鹿な考えの破壊力をけっしてあまくみてはならん」というのがある.で,大恐慌を引き起こす一助になった馬鹿な考えのなかには,なんと,しぶとく長らえているやつもある.そいつらは変形しつつも今日の経済論争に影響を及ぼし続けてる.
ずぶずぶずぶずぶ… - left over junk

上記リンクの通り、クルーグマン先生は「馬鹿な考えの破壊力をけっしてあまくみてはならん」とおっしゃいましたが、先の日銀総裁白川氏の発言を見るにつけ、日本は「馬鹿な考えの破壊力」によって失われた30年に突入しそうな感じです(あと5年も経たずに失われた20年になるので)。

こんな風に金利引き締めの引き金を引きたくてうずうずしてるのはどういう分析を踏まえてのことなのか,ぼくにはわからない.いや,たぶん分析の問題じゃないんだろう――これはメンタリティの問題なんだ.中央銀行は安易に金融緩和せずタフにふるまうべしという感覚の問題なんだろう.

私は英語に明るくないので、クルーグマン先生の言うメンタリティ(mentality)が、英語圏でどれくらい強い意味を持つ言葉なのかはわかりません。
ですが白川総裁の発言を見る限り、日銀のそれはもう、心的傾向(mentality)というより、妄執(obsession)狂信(fanatic)と呼ぶべき域に達しているようです。
日銀は果たして国内の経済状態が見えているのだろうか。今日(11月4日)の昼のニュースで来春の高校卒業者の内定率が40%に届いていない(男性38%、女性31%)という報道を見ましたが、大卒者も1年学籍を延長するなどの姑息療法でつないだものの、1年延ばしたところで就職状況は絶望的、間違いなく第二の就職氷河期となることは確実。
それなのに日銀だけはまるで別の世界の別の日本を見ているように他人事を決め込んでいるのを見ると、次のエピソードを思い出します。

信じられないが、本当だ―大日本帝国
本土決戦での話。
天皇昭和天皇陛下)が、千葉県の海岸線の守りは大丈夫か、と質問したら、鉄壁の砦が出来ている、と陸軍の参謀が答えた。*1
その当時の軍事力を信用していなかったのか、天皇は、直属の部隊に調査をさせたら、砦等何も出来ていない事が判明!という事があったそうだ。
戦争末期の陸軍上層部は作る予定が、何時の間にやら頭の中では出来ているという観念の世界の人になっていたみたい。*2

日銀のなかの人達にはあるべき経済の姿*3というのが見えていて、正しいのは自分達であり現実の方が間違っていると考えているのだろう。金融緩和政策は十分に行われているとしつこいほど繰り返すのも、政策に反応しない市場の方が間違っていると思っているんじゃないだろうか。

インフレ的政策は採用せず=日銀の白川総裁
日銀の白川方明総裁は3日都内で講演し、「国債という借金の実質的な価値を目減りさせるためインフレ的な政策を採れば、さまざまな問題が起こる」と指摘。その上で「そうしたことは中央銀行は決して行わない」と強調した。

ここで重要なのは、インフレ的な政策を採ったら起こるとされる「さまざまな問題」が何なのか問い詰めることでしょうに。
どこで講演したのかは知りませんが、どこのボンクラが出席してたんでしょうか?

*1:参謀ではなく阿南陸相であった模様

*2:「これ阿南、銃剣すらないではないか」という言葉は有名

*3:もちろん日銀的にあるべき姿でござんす。それが何なのか皆目見当がつきませんが。