主人公であること、ヒーローであること Vol.5

さて、前頁を受けて、ジャンプマンガ式路線変更の弊害を整理することにしましょう。
今でこそ「善と悪の戦い」「勧善懲悪」は使い古されたテーマとされています。このテーマが有効に機能したのはせいぜい1990年、共産圏の崩壊まででしょう。もちろんその当時における「善」とは自由主義であり民主主義、すなわち「西側」であり、「悪」とは自由制限と独裁主義の共産圏、つまり東側でありました。ただ、そのような形であったとしても、まだ90年ごろまでは善と悪の二分法は不完全とはいえ機能していたわけです。
ですが、共産圏の崩壊と共に「悪」の拠りどころが失われ、それはすなわち善悪二分法の問い直しという形で、「善」と「悪」は立場の違いに過ぎないという見方が一般的となりました。
導入が上手くいかなかった。考え直しましょう。結論は決まっているんですが、いざ書くとなると中々上手くいきませんね。