主人公であること、ヒーローであること Vol.3

ジャンプマンガと路線変更

先の数作のマンガだけではなく、詳しく調べれば序盤から路線を変更したというマンガは少なくないでしょう。*1
ここで重要なのは、路線変更前の作品スタイルがなんであれ、路線変更後はバトル物に、特にトーナメントや武闘会といったものがかんでくるということなのです。
私はキン肉マン以前の作品を殆ど知らないのですけれども、先に挙げた作品だけではなく、記憶にあるだけでも「聖闘士星矢」「まじかるタルるートくん」「るろうに剣心」「とってもラッキーマン」「HUNTER×HUNTER」などが思い浮かびます。*2ただ、これらを先の作品に含めなかったのは、連載当初からバトルを前提に書かれていたか路線変更が想定の内だった(少なくとも、路線変更後のスタイルを決めていた)ふしがあるためで、特にまじかるタルるートくんは作者の江川達也氏自身が、純粋にマンガ修行のために連載を始めたと言っているんですね。
江川達也氏は月刊ニュータイプの記事で、人気が無くなると試合を設定し、そうすると人気が回復するという経験を得られたと語っていました。
さて以上をまとめますと、

  • 80年代から90年代にかけてジャンプの屋台骨を支えた作品の中には、連載初期には人気が無く、路線変更によって人気が出た作品が少なくない。
  • ジャンプマンガの路線変更のセオリーとして、連載初期の作品スタイルに関わらず、何かの勝負・バトル路線の方向に変更が行われる。
  • 勝負・バトル路線の方向に変更を行う際には、試合形式、トーナメント、武闘会という形で行われることが多い。

路線変更についての補足として

ジャンプの黄金時代は1980年代後半から1990年代中盤にかけてと言われます。ですが、これまでに提示した作品を見ると、あからさまな路線変更が見て取れる作品は80年代に集中しており、90年代以降に連載が開始された作品は路線変更が折り込み済みであるか、あるいはストーリー自体に「受ける」作品パターン、つまりバトルに流れることを前提にしている形跡があるのです。

*1:例えば「ジャングルの王者ターちゃん」もギャグから格闘バトルに路線変更されましたね。

*2:とにかく10週打ち切り作品が多くて記憶をチェックするだけでも一苦労です。なお、ジャンプには10週の他に1年という大体の区切りもあるようですね。続いても1年で終了という作品も多いです。