「デフレに克つ」って、分かって言ってるのかな?

朝からこう、気分の悪くなるTV番組をよくもまあ見る気になってると我ながら呆れるのですが…。
例によってテレビ東京のモーニングサテライトです。
今日、今しがた「デフレに克つ」と銘打って、築地野口屋さんの「豆腐の引き売り」を取り上げていました。
350円する豆腐を昔ながらの売り方で売るというやり方で、お客さんとの濃密なコミュニケーション持つことで、言わば豆腐ではなくコミュニケーションというサービスを売るということであるわけですね。
1日の売り上げは平均3万円、5万円を越えることもあるそうです。
かつては百貨店で売っていたそうですが廃棄ロスや店代等(20〜30%もかかるとのこと)で商売にならなかったようです。
300円以上の「高い」豆腐を買う層は全体の数%しかいないのですが、その層にターゲットを当て需要を掘り起こすとのことですが…、正直、いい加減にして欲しいと思う。
これは上念司氏も「デフレと円高の何が「悪」か」で書いていたことですが、サイコロを何万回と振れば時に10回連続でゾロ目が出ることもある、しかしそれを特別視してはいけないように、商品やサービスは日本中に数億とあるのですからデフレでも一部は高価なものが売れることもあるでしょう、しかしそれをもってデフレは脱出できると言うのは筋違いなのです。
仮に、この販売モデルが売れるとばかりに全ての豆腐屋が高価な豆腐を引き売りしたとしたら?単に豆腐の価格が上がって豆腐の消費が減るだけでしょう。


何より私がこのような番組を問題だと思うのは、このようなミクロの努力によってマクロの問題を解決できると視聴者に誤解させる惧れがあるということです。
逆境にもがんばる姿というのはTV受けしますし視聴者も好む構図なのですが、このような番組が個人レベルの努力の過大評価を国民に刷り込むことになっているのでは、と思うのです。