お金は「ケガレ」ている

アゴラに気になる記事があったのでちょいと押さえてみる。

経済を脳死させないために「金利教育」の強化が不可欠だ - 磯崎哲也
(途中のみ抜粋)
しかし、「3000円」とか「400円」といった回答をした人は、「金利は元本に利息と期間を掛けあわせて計算する」という基本的なしくみがわかっていないか、小数の掛け算の計算力が無いかのどちらかだから、これは大問題である。何度も言うように、へたな金利で借金をしてしまったら、命に関わりかねないのである。


しかし、2人の息子に聞いたところ、小学校で金利の計算を習った記憶は無いそうだ。
なぜ金利について小学校の授業で教えないのだろうか。
まさか教育界に「金のことを教えるなど汚らわしい」といった偏見があるわけではなかろうが、ぜひ、義務教育段階でこうした金利の計算が全員できるようになるような教育を行っていただきたい。
経済を脳死させないために「金利教育」の強化が不可欠だ – 磯崎哲也 – アゴラ

いいえ、それは違います。太古からお金とそれに関わる職業は卑しいもの、賎業とされ、今でも金融や証券業を「虚業」などと言うではありませんか。
そして実のところ、洋の東西を問わず、長く「商人」は卑しい者とされていました。
例えば旧約聖書十戒には第十の戒律として「隣人の財をむさぼってはならぬ」という文言があります。十戒を知らない人はこれを「盗み」と解釈するかも知れませんが「盗んではならぬ」という戒律は別にあるので、これは「不当な利益を求めてはならぬ」という意味であろうと言われます。
思えば、江戸時代の身分制度である「士農工商」も、食べ物を作る農民、生活に必要なものを作る職人は、それらを売って生計を立てる商人より身分は上という建前ですよね(事実上、侍とそれ以外なわけですけど)。


私はこの「商」を卑しむ態度が日本人の経済リテラシーを著しく低くしているのではないか、と思うのです。
例えば、日本経済新聞はかつて、いや今でもでしょうか、株屋の新聞なんて言われていました。経済にテーマを絞って報道するというのはむしろリソースを集中し専門性を高めるという点で良いことだと思うのですが、「株屋の」なんて株と関係の無い庶民には関係の無いものだということなんでしょう。
欧米に比べて日本人がおバカということは無いと思うのですけれどね、単に経済学的に考える教育がなされていないというだけの問題であって。
そういえば、欧米では子供がお小遣いやサークル活動費を稼ぐためにレモネード売りやベビーシッターをやるという話は良くありますけど、日本では子供の労働というと家計を支えるためという話になりますよね、なぜか。