昭和恐慌について再補足

昭和恐慌について補足 - WATERMANの外部記憶
経済学を覆う闇、その2 - WATERMANの外部記憶
経済学を覆う闇 - WATERMANの外部記憶

井上準之助とはどんな人物か

これまで数度のエントリは、昭和恐慌についての概要を知る必要があると思い大雑把に調べたことである。
そこでふと、井上準之助とはどのような人物かWikipediaで調べたのであるが…、気になる一文があった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%95%E4%B8%8A%E6%BA%96%E4%B9%8B%E5%8A%A9
明治26年1893年):東京帝国大学英法科入学

そう、井上準之助は経済の専門家ではなかったのだ。
彼は為替差益をねらう財閥銀行を「売国的行為」と非難したのだが、このような行動を取ったのも、彼の出自からなんとなく推測ができる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E8%A7%A3%E7%A6%81
井上は金解禁の目的を「財界の安定」・「国民経済の根本的建直し」・「日本経済の世界経済への常道復帰」・「金本位制の擁護」・「日本の経済力の充実発展」の5点を掲げ、金解禁に伴う景気への悪影響を最小限に抑制するために国民に対して消費節約と国産品愛用を訴えた。

このように規範に訴える事で人々の行動を統制できると考えたのは彼が法学出身だったためであろうし、金解禁に際してのアピールを見ても、法学出身者は往々にして実利に訴えるより法規制や規範に訴える方向に向かう傾向が強い。
だが、そもそも投資家に対し、確実に儲かると予想できる相場に手を出すな、儲けるなと言うこと自体が間違いなのだ。
この例から見ても、法学家というのは経済と甚だ相性が悪い。
同様の話は、実はクルーグマン先生の「経済を子守してみると」という論文にも見られるのである。

経済を子守りしてみると。
「金融理論とキャピトルヒル子守協同組合の大危機」
(前略)
この協同組合のメンバーのほとんどは弁護士だったので、これは金融問題なんだということを説得するのはむずかしかった。かれらは法規の制定によって回復を計った――各カップルに、週に最低二回は外出するように義務づける規則を成立させたりして。
(中略)
キャピトルヒル子守り協同組合に問題が起きたのは、そのメンバーたちが無能で効率の低い子守りだったからじゃない。この問題で別に「キャピトルヒル的価値観」だの「身内えこひいき型子守り主義」の根本的な問題が露呈したわけでもない。そこにあったのは、ちょっとした技術上の問題だ
(後略)