サービス業の生産効率はなぜ伸びないか

http://diamond.jp/series/tsujihiro/10086/
生産性の高い製造業はGDPの1割だが、生産性の低いサービス業は7割を占める。従って、平均生産性が低下した。これが第一の原因だ。次に、池田氏は、 90年代に衰退産業から成長産業への生産要素(資本、労働)の移動が低下したことを指摘した上で、「バラマキ公共事業によって非効率的な建設人口が増えたため、日本の潜在成長率は低下したと考えることができる」としている。

ダウトである。
http://www.meti.go.jp/report/data/g70502aj.html
ぶっちゃけリンク先のPDFを見て欲しい、日本のサービス業の問題点が明らかである事が分かるはずだ。簡単に整理すると次の通りになる。


付加価値で見た場合、1990年に対し2000年は情報サービス業やレンタル業、人材派遣業が著しく伸びているのに対し、映画・興業、ハイヤー・タクシー業、不動産関連が非常に低下している。また、雇用人数で見るとゴルフ場が非常に減少していることが分かる。
これから言えることは何なのかと言えば、単に平成バブル崩壊以降の長引く不況により、サービス業の多様化、サービス業就業者の増加を埋め合わせられるだけの経済成長がなかったという事なのだ。
バブル景気の時代、ゴルフ場の会員権はとんでもない高値が付いたし、金曜日の夜ともなればタクシーは止まってくれなかった。銀座や六本木では1万円札を掲げてタクシーを止めたという話があるくらいだ。この時代は企業が節税のために映画に投資することも多く、またバブル崩壊と共に下落した地価は今だバブル期の価格を回復していない。


池田信夫氏はサービス業の成長が無かったから経済が成長しなかったと結論付けている訳であるが実態は逆であり、1)バブル期に高値の付き過ぎたサービス業に調整が入った、2)製造業のリストラと規制緩和によってサービス業就業者が増加した、3)デフレ不況が長引いたことと参入者が増えたことで価格が低く抑えられた、この3点が原因の主なところだと考えられるのである。
更に言うと、地方経済の疲弊によって地方の個人経営者が苦境に立たされているというのもあるだろう。


どちらにしろ、バブル崩壊以降の不況―途中多少の山があったとはいえ―が、もう20年近く続いているというのに、非効率な企業が今だ生き延びていると考えるのがおかしいのである(そもそも、氏がゾンビ企業の筆頭に挙げる土木・建築業はサービス業ではないだろう)。